こんにちは、小松啓(@EUREKAPU_com)です(プロフィールはこちらからどうぞ)。Twitterフォロー大歓迎です。よろしくお願いいたします。
不慮の事故やけがによる入院、それに伴う通院、歯科・眼科などでの治療、妊娠・出産など、治療にかかわる出費は一度に多額になりがちです。
そんなときのために、所得税計算においては、医療費控除を受けられます。
必要なものは領収書などです。
もし、ここに情報がなければ、管轄の税務署に電話して聞いてみると、丁寧に教えてくれます。
参考となる国税庁ホームページのリンクを記載します。
1_「漢方薬等の購入費用が医療費控除の対象となる医療費に該当しないとした事例(平成 28 年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分・棄却) 」
https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/journal/saisin/0020011-096_danno.pdf
漢方薬やビタミン剤が医療費控除の対象となるかどうかの判断は個別性が高いものにならざるを得ません。本資料では、漢方薬の購入費用が医療費控除の対象となるかどうかが争点となったものであり、判断に際して医療費控除の対象となり得る「医薬品」の範囲や「治療又は療養に必要な医薬品」であるかどうかを詳細に検討していることから、先例性が高く、参考になりそうです。
2_「No.1122 医療費控除の対象となる医療費」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htm
動画(音声)でも、ざっくりと補足しました、スマホ用に縦画面です。
よろしければ、ご活用ください。
1. 医療費控除とは
医療費控除では、その年の1年間に医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定金額を超える場合、その一定金額を控除できます。
1-1. 医療費控除の金額
控除できる額は、所得に応じて以下の2通りです(最大200万円まで控除できる)。
ポイントは、総所得金額が200万円未満の方は、年間10万円を超えていなくても、控除できることです。
- (総所得金額が200万円以上の方)
- (総所得金額が200万円未満の方)
差引医療費(支払った医療費ー受取保険金)から10万円を引いた金額を超えた金額
差引医療費(支払った医療費ー受取保険金)から所得金額の5%を超えた金額
対象となる医療費は実際に負担した金額だけ(ここでは差引医療費とよびます)であり、生命保険の入院給付金や健康保険の高額療養費出産育児一時金などを受け取った場合は、それらを医療費から差し引かなくてはなりません。
具体例で考えてみます。
給与所得600万円の人の年間の差引医療費が14万円でした。
この人の所得は200万円を超えていますので、10万円を超えた部分の4万円を所得から医療費控除として差し引くことができます。
つまり、この4万円に税率をかけた金額分だけ、支払うべき税金の金額が減額します。
この例であれば、所得税+住民税を合わせ、約1万円の税金支払いが減ります。
1-2. 医療費の範囲
悪いところを治療するという目的のものであれば、あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師、または柔道整復師などにかかった通院費用も医療費に含めることができます。
以前はCMでも見かけましたが、禁煙治療やED(Erectric Disfunction:勃起不全)治療などの費用も医療費控除の対象です。
1-3. 医療費控除の対象になる費用
以下の医療費控除の対象になる費用を例示しました。
ポイントは、「治療」かどうか、「医師の指示・判断に基づくか」です。
健康増進、美容や自己の都合による支出の場合は、医療費控除に含められません。
医療費控除に含められるのは病院費用だけではなく、それに関連した支出も含められます。
病院には行かない人でも、市販薬を購入することはあると思います。
治療のために購入した「市販薬」も医療費控除の対象です。言い換えれば、医師の処方箋のない市販薬でも問題ありません。
この「治療」と「予防・美容・健康増進」の間には明確な判断基準線があればいいのですが、本人の主観にならざるを得ません。
日本では、「申告納税制度」を採用しています。税務調査を受けたときに、申告した内容に明らかに間違いがあると調査官が証明できない限り、納税者が申告した内容をむやみやたらに訂正・修正したりはできません。
よって、あきらかに治療でないと認められない限りは、医療費控除として認められるでしょう。
どうしても、心配な場合は、管轄内の税務署へ電話して確認しましょう!
1-4. 医療費控除の範囲の補足:ビタミン剤や栄養ドリンク
ビタミン剤や栄養ドリンクであっても、次の2つの条件を満たせば、医療費に含めることができます。
- 何らかの体の不具合症状を改善するためのものであること
- 医薬品であること
前述した市販薬の場合と同じで、医師の処方箋などは必要ありません。
例えば、薬用養命酒は医薬品ですが、リポビタンDは医薬部外品なので含められません。
1-5. 医療費控除の範囲の補足:マッサージや鍼灸
マッサージや鍼灸であっても、次の2つの条件を満たせば、医療費に含めることができます。
- 何らかの体の不具合症状を改善するためのものであること
- 公的な資格を持つ整体師鍼灸師などの施術であること
前述した市販薬や栄養ドリンクなどと同じように、体はどこも悪くないのに、マッサージしておこうかというのは当然NGです。
また、どこかわけのわからない名ばかりのマッサージ店での施術でもいいというわけではなく、国家資格を持った整体師鍼灸師などから受ける施術でないと控除されません。
1-6. 医療費控除の範囲の補足:ED治療や禁煙治療
そもそも、他人に相談しにくいものだからかED治療や禁煙治療が医療費控除の対象になっていることはあまり知られていないかもしれません。
EDは医療の見地からは、病気として扱われ治療の対象となっています。
また、禁煙治療は数万円から数十万円の出費を伴うこともあるようですので、病院で禁煙治療をする人は、忘れないように医療費控除を申告しましょう
1-7. 医療費控除の範囲の補足:交通費タクシー代
病院で支払った診療費用以外にも、病院までの交通費など、合理的な方法で交通機関を利用した場合は、医療費控除の対象です。
通常の経路において、電車やバスを利用すれば、それらは医療費に含めれます。
長距離の場合で、列車や飛行機などを利用したり(グリーン車やビジネスクラスの利用はNGです)、宿泊しなければならない遠方の病院であれば、それにかかる宿泊費(高級ホテルの利用はNGです)も医療費控除に含めることができます。
タクシー代が医療費控除の対象になるのは、病状などから見てタクシーを使わざるを得なかった場合です。たとえば、病状がひどく、一刻を争う場合などです。
また、電車やバスを利用して領収書をもらわなかったとしても、1回にかかる電車代金とバス代金と病院に行った回数を集計し、その数字を申告しましょう。
1-8. 医療費控除の範囲の補足:歯の矯正費用
子供の歯の矯正費用は医療費控除の対象です。
理由は、子供の場合、歯の噛み合わせが悪いことによる他への影響が大きいため、治療として認められています。
歯の矯正は、かなりお金がかかります。いつか調整することを考えているのであれば、将来のためにも、ご自身の節税のためにも、子どものうちに矯正しておくことをお勧めします。
1-9. 所得が200万円以下なら医療費10万円以下でも控除を受けられます
医療費控除は医療費が10万円以上かかった時にだけ受けられると思ってる人も多いようです。
マネー雑誌や他のWeb記事などでもそのように紹介されているのをよく見かけます。
医療費が10万円以下でも医療費控除を受けられます。
例えば所得が140万円の人の差引医療費の額が14万円だった場合で考えてみます。
所得が140万円の5%は7万円です。このように、所得200万円未満の方の壁の高さを計算します。
言い換えれば、医療費が7万円以上かかっていれば、その壁を超えた金額分の7万円の医療費控除を受けることができます。
なお、夫婦とも共働きでどちらかの所得が200万円以下であれば、200万円以下の配偶者が家庭の医療費を払ったことにすると、医療費が10万円以下でも控除を受けられます。
夫婦共働きの場合、どちらの収入から医療費を支払ったことにすべきかというのは任意にきめられます。収入の低い方の配偶者が家庭の医療費を全額負担したことにしても問題はありません。
繰り返しになりますが、「医療費控除は医療費が年間10万円以上かからないと受けられない」というのは正しくなく、所得次第です。
2. おわりにかえて
私の場合、最初に医療費控除に実際に直接触れたのは、妻の妊娠・出産のときでした。
なかなかこのあたりも個別具体的なところはわかりにくいものが多いかもしれません。
医療費として含められる支出かどうかは、「治療」かどうか、「医師の指示・判断に基づくか」です。
迷ったら、電話して聞いた方が具体的ですし、早いです。
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