Part1会計の基礎知識 1-3-4 仕訳はなぜ左と右に分かれるのか~【会計・簿記入門編】読まないで会計思考を身に付ける方法

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本記事では、自著の「【会計・簿記入門編】読まないで会計思考を身に付ける方法: Accounting Pictures Book」の「Part1 会計の基礎知識」の「簿記とは」部分を加筆修正した内容をご紹介しています。

電子書籍で閲覧いただいた方が断然見やすいです!

よろしくお願いいたします。

【Part01】会計の基礎知識
1-1. 会計とは
1-1-1. 概要
1-1-2. 簿記と会計の違い
1-1-3. 会計とファイナンスの違い
1-1-4. 企業の3つの活動

1-2.財務諸表とは
1-2-1. 財務諸表の概要
1-2-2. 5つの要素と勘定科目と会計期間

1-3. 簿記
1-3-1. 簿記一巡(簿記全体の流れ)
1-3-2. 仕訳とは
1-3-3. 仕訳の作り方
1-3-4. 仕訳はなぜ左と右にわかれるのか本記事!

1-3. 簿記とは

1-3-4. 仕訳はなぜ左と右に分かれるのか

簿記とは、つまるところ、モノの数え方の話です。

その歴史は古く、13世紀初頭に実務の中で誕生・発展してから現在に至るまで、経済活動の発展と共に広く世の中の人に知られ、数百年たった今でもなお、なくてはならないものです。

この章を読み終わるころには、以下の2つがざっくりとわかるようになります。

・なぜ勘定は左と右にわかれるのか?
・なぜ仕訳は左と右にわかれるのか?

これから2頭の羊が移動する様子を3つの数え方で数えていきます。
1つ目は一般的な数え方、2つ目は単式簿記の(勘定を使った)数え方、3つ目は複式簿記の数え方です。

数え方は3つ異なりますが、羊の移動は同じにすることで、その数え方の違いをみていきます。
ここでは、簿記が単なる数え方の話ということを強調するために、あえて数字を使わず、石で数えます。
(人々の生活が狩猟生活から牧畜へ移行し始めた時代は、数を表す言葉が「1」と「2」と「3」しか存在していなかったようです。「3より大きい数」は「たくさん」などという言葉で表現していたようです。言葉はなくても、3より大きい数を石などの道具を使って数えたらと想像してみます。)

単式簿記と複式簿記自体の違いなんて、はっきりいってどうでもよい、と思うかもしれませんが、ここはぐっと堪えてください。

この数え方の考え方が理解できれば、あとは勘定科目という引き出しを正確にできるだけ多く覚え、取引をその引き出し(勘定科目)に納めるだけといっても過言ではありません。

とても有名な話ですが、かの文豪ゲーテも著書の中で複式簿記について語らせています。

まず先に、2頭の羊の移動する様子だけ、確認しましょう。
この2頭が下の緑の敷地内を合計3回移動します。

【数え方1】 一般的な数え方

まず、最も一般的な数え方を確認します。
この数え方では、羊が増えたり、減ったりしたとき、それに応じて、石の数も増やしたり、減らします。羊の数に応じて手元の石が増減するため、直感的に理解しやすい数え方です。

それでは1つ目の数え方をみてみましょう。
羊が1頭増えたら、手元の石を1つ増やします。

1頭いたところに、もう1頭増えれば、手元の石も1つ加えます。

2頭いた羊が1頭になれば、手元の石も1つへらします。
この数え方では、羊が減ったら、それに対応させて石も減らします。羊の数と石の数が一致するので、直感的な数え方であり、簿記を知らないひとの多くはこの方法で数えるはずです。

しかし、手元の石をみても、羊の移動があったことはわからず(課題1)、その羊が自分の羊なのか他人の羊なのかわかりません(課題2)

2頭だと記憶に頼ることができますが、これが1万頭の1万回の移動だとすると、この数え方では手に負えません。

【数え方2】単式簿記の(勘定を使った)数え方

次に、勘定を使った数え方を確認します。

勘定を使えば、羊の移動記録を残すことができます。

この数え方では、あらかじめ左と右で増加を記録する場所と減少を記録する場所を決めておき、羊が増えても減っても、石を加えていく数え方です。

2つ目の数え方をみてみましょう。

羊が1頭増えたら、手元の石を1つ増やすのは先ほどと同じです。この数え方では、増加の場所を左側と決め、そこに石を置きます。

1頭いたところに、もう1頭増えれば、「羊」勘定の左側、つまり増加と決めた場所にもう1つ加えます。

2頭いた羊が1頭になれば、減少の場所と決めた右側に石を1つ加えます。

羊がいま何頭いるのかはプラスの2つとマイナスの1つを差し引けば、1頭というように計算すれば、わかります。

1つ目の数え方では、いま何頭いるのかだけわかりました。

この2つ目の数え方では、増加と減少の数を正の値で数えるため、合計何頭増加したのか、合計何頭減少したのか、その結果、いま何頭残ったのかまでわかるようになります(課題1の解決)。

しかしまだ、この羊が自分の羊なのか他人の羊なのか石を見てもわかりません(課題2)。

これを解決するのが複式簿記の数え方です。

【数え方3】複式簿記の数え方

最後に、複式簿記の数え方を確認します。

1つの移動に対して、同時に2つ記録していく方法です。

といっても難しいことはなく、自分の羊と他人の羊を区別できるように、さらに「自分(の羊)」勘定と「他人(の羊)」勘定を増やして数えるだけです。

羊が1頭増えたら、「羊」勘定の左側に1つ石を置くのは先ほどと同じです。

これに加え、「自分」勘定の増加の場所を右側と決め、ここにも石を1つ置きます。

この「自分」勘定の増加の位置と「羊」勘定の増加の位置を左右逆にしたことが先人の工夫なのですが、詳細は後述します。

1頭いたところに、もう1頭増えれば、「羊」勘定の左側にもう1つ加え、さらに「他人」勘定の増加の場所を右側と決め、ここにも石を1つ置きます。

こうすることで、石を見るだけで、羊が合計何頭いて、そのうち、自分の羊が何頭で、借りた羊が何頭かわかるようになります。

2頭いた羊のうち、他人の羊が1頭減れば、「羊」勘定の右側(減少の場所)に石を1つ加えるのは先ほどと同じです。

これに加えて、「他人」勘定の左側(減少の場所)にも1つ石を加えます。

このように数えれば、合計何頭増加したのか、合計何頭減少したのか、その結果、いま何頭残ったのか、さらに、それが自分の羊なのか他人の羊なのか石を見れば一目瞭然です(課題2の解決)。

ここまででお気づきの方も多いかもしれません、実はこの石の置き方こそが「仕訳」に他なりません。

もう一度、これを仕訳としてみるとどうなるか、勘定とともに、確認してみましょう。

【まとめ】石の置き方を「仕訳」としてみる

自分の所有する羊が1頭増えたら、「羊」勘定を左側に、「自分」勘定を右側にすることで仕訳になります。

このように、羊の動きを仕訳に変換し、それを「羊」勘定と「自分」勘定に書き写したものを先ほど確認したことになります。

仕訳を勘定に書き写すことは「転記」とよびました。

1頭いたところに、さらに他人の羊が1頭増えました。

今度は、「羊」勘定を左側に、「他人」勘定を右側にすることで仕訳になります。

他人の羊が1頭減りました。

「羊」勘定を右側に、「他人」勘定を左側にすることで仕訳になります。

先人が工夫したこと

先ほど、「自分」勘定の増加を「羊」勘定の増加と逆にしたことが先人の工夫といいました。

これを解説します。

「自分」勘定と「他人」勘定の増加を「羊」勘定の増加と逆にしたので、「自分」勘定と「他人」勘定は右側が残高になります。

残高だけを集計すると、左側と右側の残高が一致していることが確認できます。

このように残高を集計すれば、記録が正確になされたことが確認できます。

これが仕訳が左右に分かれる理由であり、先人の知恵です。
(といっても、仕訳の段階で左側と右側の金額が一致し、正確に転記しさえすれば当然の結果です。)

おわりに

ここまでをまとめます。

冒頭で2つの問いに答えられるようになるとお伝えしました。

・なぜそもそも勘定は左と右に分かれるのか?
増加も減少もどちらも正の値で数えるためです。それにより、いくつ増えたのか、いくつ減ったのか、その結果いくつ残ったのかを知ることができます。

・なぜそもそも仕訳は左と右に分かれるのか?
資産(お金を含む財産)について、それが他人のものなのか、自分のものなのかを区別し、かつ、それらの残高を集計すれば、記録が正確になされたことが、試算表の左右の金額の一致で確認できるからです。

会計では、自分のものをさらに2つに分けます。これが「資本」と「利益(収益-費用)」です。これは株式会社では、資本(元手)と利益(儲け)を区別する必要があるためです。つまり、会計では合計5つの要素に分かれます。

もう一度、次の頁で複式簿記についてのゲーテの言葉をかみしめつつ、次の「Part2貸借対照表をマスター」に進みましょう。

これで「【Part1】会計の基礎知識」をおわります。

次は「Part2貸借対照表をマスター」です。

本記事では、自著の「【会計・簿記入門編】読まないで会計思考を身に付ける方法: Accounting Pictures Book」の「Part1 会計の基礎知識」部分をご紹介しています。

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