【図解】所得税:雑損控除(所得控除)をわかりやすく解説します

こんにちは、小松啓(@EUREKAPU_com)です(プロフィールはこちらからどうぞ)。

Twitterフォロー大歓迎です。よろしくお願いいたします。所得控除の概要についてと雑損控除のざっくりとした概要は、こちらの記事でご紹介しました。

関連記事:「【図解】所得控除とは何かをわかりやすく解説します」

今回は、その所得控除の雑損控除について、設例などを追加し、より詳細に確認します。

1. 雑損控除

雑損控除では、災害または盗難、もしくは横領によって、生活上の資産に損害があった場合にその損害額のうち一定金額を控除できます。

なお、事業用の資産(棚卸資産や事業用の建物など)についての損害は雑損控除の対象ではなく、事業の損失として計上することになります。

生活に通常必要でない資産については雑損控除の対象外です。これは生活に通常必要でないような資産をもつ程度に裕福なのであれば、その資産にかかる損失まで控除を認めては公平性が保てないためと考えられます。

1-1. 雑損控除できる金額

控除できる金額は次のうちいずれかの多い方です。

  1. (差引損失額)-(総所得金額等)×10%
  2. (差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円
雑損控除の図解です
ちょっと細かいので上図では簡略化していますが、厳密には差引損失額に含まれる「災害関連支出(正確には「災害等に関連したやむを得ない支出の金額」)」と控除できる金額の「災害関連支出(正確には「災害関連支出の金額」)」は異なります。

「災害関連支出の金額」とは、災害により滅失した住宅、家財などを取壊し又は除去するために支出した金額などです。例えば、焼跡の整理費用などです。

「災害等に関連したやむを得ない支出の金額」とは、「災害関連支出の金額」に加え、盗難や横領により損害を受けた資産の原状回復のために支出した金額のことです。例えば、盗難にあったときに壁を壊された場合、その壁の原状回復のために支出した金額のことです。

実際になにか災害などにあわれた場合には、個別に所轄の税務署などへ相談しましょう。

損失額が大きく、その年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後(3年間が限度)に繰り越して、各年の所得金額から控除することができます。

なお、雑損控除は他の所得控除に先だって控除することとなっています。

上の図で「損害金額」とは、損害を受けた時の直前の時価です。なお、平成26年分から、損害を受けた資産が減価償却資産なら、取得価額から減価償却累計額を控除した簿価を損害金額として計算できます。

1-2. 雑損控除の原因となる事象

災害、害虫被害(スズメバチの巣の駆除費用など)、シロアリ退治、豪雪地で雪下ろしをした場合の費用も控除の対象になります。

なお、詐欺や恐喝による被害は対象外です。詐欺被害は自己責任ということのようです。

3 損害の原因
 次のいずれかの場合に限られます。
(1) 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
(2) 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
(3) 害虫などの生物による異常な災害
(4) 盗難
(5) 横領
なお、詐欺や恐喝の場合には、雑損控除は受けられません。

出所:国税庁 タックスアンサー No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除) 

2. 雑損控除の簡単な設例

簡単に設例で確認してみましょう。

  • 総所得金額 :200万円
  • (給与収入だけの場合、給与収入から給与所得控除の額を控除した後の給与所得金額のことです)

  • 損害金額  :100万円
  • 災害関連支出: 30万円
  • 受取保険金 : 40万円

上記の場合、①の方が大きいので、雑損控除の金額は「70万円」となります。

  1. (差引損失額)-(総所得金額等)×10%
  2. (差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円
雑損控除の設例入りの図解です

この図をみるとわかるのですが、所得が多いひとは損失のあった家財などについて、雑損控除が受けられないようになっています。

どういうことかというと、例えば上記の設例のうち、総所得金額を900万円に変えて確認してみましょう。

この場合、①の金額はゼロになります。

つまり、所得が多いひとは、損失のあった家財などは控除できず、その関連支出費用だけが雑損控除できるということです。

雑損控除の設例入りの図解です

このあたりに、「課税の公平性」が考慮されている感じがわかります。

3. 国税庁のHPリンク

参考までに、国税庁のHPリンク(所得税法の条文へのリンクはサイトのレスポンスが悪かったので、加えていません)

4. まとめにかえて

言葉だけだとわかりにくく、実際に「災害関連支出」はわかりにくいので、災害にあわれた方は個別に相談しましましょう!

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