会計上の取引は8つの要素の組み合わせで整理することができます。これを取引の8要素といったりします。これ自体は全く覚えておく必要はありません!わざわざご紹介するには理由があり、要するに簿記の仕訳というのは主に8つの要素の組み合わせしかなく、しかもその組み合わせも大体10パターンくらいしかないってことを強調するためです。
取引は何かと何かを交換するため、複式簿記ではその取引の要素を2つに分解し、記録します。その要素は全部で資産、負債、純資産、収益、費用の合計5つあり、各要素は左右両方に記録されます。ですから、25通りの組み合わせが存在します。ただし、収益と費用の減少は間違った収益と費用の計上を取り消すときに使用することが多いため、日常的には使いません。ですので、収益と費用の減少はあまり考える必要がありません。
従って、取引は8つの要素の組み合わせで整理することができ、取引の8要素といいます。
今日は、代表的な組み合わせ10通りを一つずつ確認してきましょう。
1:資産の増加と純資産の増加
例えば、資産と純資産が増加する取引は、株主が会社にお金を出資する場合があてはまります。
会社にはお金という資産が増加し、それを資本金とし、これは会社からみれば出資してもらったお金なので、純資産を増加させます。
2:資産の増加と負債の増加
例えば、資産と負債が増加する取引は、銀行や取引先から会社がお金を借り入れする場合があてはまります。
会社にはお金という資産が増加し、それを借入金とし、借りたお金は返済する必要があるため負債を増加させます。
3:資産の増加と資産の減少
例えば、資産が増加し、資産が減少する取引は、会社のお金で商品を購入したり、設備や備品を購入したりする場合があてはまります。
会社には商品や設備や備品という資産が増加します。ほかにも、手元の現金を銀行預金に預け入れた場合もこれに当てはまります。あくまで、資産の中でその構成が変わるだけです。
4:資産の増加と収益の発生
収益と費用は増加といわず、発生といったりします(細かいのでどちらでもよいです)。
これは、損益計算書が貸借対照表の純資産の増減明細表であり、その増減を測定しているためです。
例えば、資産が増加し、収益が発生する取引は、顧客に対して何かサービスや商品を提供し、それと引き換えに現金を受け取った場合があてはまります。
会社にはお金という資産が増加し、それを売上高とします。販売した商品は別に資産の減少とし、売上原価という費用の発生として数えます(No.5を参照)。
顧客から儲けたお金なので収益の発生として数えます。
その他、使用していた固定資産を売却した場合に発生する売却益もこのパターンです。
5:資産の減少と費用の発生
例えば、資産が減少し、費用が発生する取引は、No.4で前述しましたが、顧客へ商品を販売した時に、その引き渡した商品を資産の減少とし、それを売上原価という費用の発生として数える場合があります。
また、広告宣伝費や人件費の支払いなど、経費として現金を支払った場合が当てはまります。
会社にあったお金という資産が減少し、ちょうどその分を費用としてして数えるイメージです。