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24個の取引を使って、財務諸表を紐解く- 配達用車両の購入
https://app.eurekapu.com/lessons/financial-statements/no13-purchase-cars
ここでは営業用の車を新車で購入する取引をみてみましょう。
営業用車両を購入
営業用の乗用車を100万円で購入し、普通預金口座からディーラーが指定した口座に振り込みを行った
取引概要
営業用の車両は、商品などを顧客の手元に届けるために、その耐用年数に渡り使用します。くちひげさんの本業は八百屋ですので、車は野菜を届けるためなどに使用します。言い換えると、営業用の車両はそれを使用することで収益の獲得に貢献する資産といえます。反対に、商品(りんご)のような資産は使用ではなく販売によって収益の獲得に貢献している資産ですね。
このような長期に渡り使用することを目的に購入する資産は有形固定資産として記録します。そして、決算整理時に、その使用年数に応じて減価償却によって毎期費用に振り替えます(参考→【図解】「財務3表」の構造21 ~減価償却費と繰延資産償却の計上(決算整理))
なお、くちひげさんの本業が八百屋ではなく、車を販売するディーラーだった場合は、有形固定資産になるでしょうか。上記で述べたように、販売目的でその車両を保有することになるため、ディーラーにとっての車両は棚卸資産です。このように、会計では何を買ったかで分類するのではなく、なんのためにそれを購入したかで、棚卸資産なのか、有形固定資産なのか(または消耗品として一括で費用処理するのか)を振り分けます。そもそもなんでこんな事をするかと気にするかというと、期間損益計算を適切に行うためです。
有形固定資産とか流動資産とか棚卸資産とかなんだっけ?となった方には、こちらでご確認ください「【図解】財務諸表 ~貸借対照表(B/S)の構造」。
Step1:仕訳
取引内容を簿記のルールに従って仕訳に変換すれば、購入した車は資産の増加として左側に「車両運搬具100」、ディーラーに支払ったお金は資産の減少として右側に「普通預金100」と記録できます。
Step2:勘定科目ごとにその勘定に集計
普通預金勘定、車両運搬具勘定にそれぞれ仕訳内容を記録します。普通預金勘定は720から100減少して、620になります。車両運搬具は0から100増加して、100となりました。言い換えれば、流動性のある現金からお金に変わるまで時間を要する固定資産に振り替わったともいえます。この固定資産自体は顧客に販売してお金に変えるのではなく、使用することで間接的にお金を獲得していく資産です。使用は耐用年数分だけ行えることから、会計では一括で費用として処理するのではなく、わざわざ資産に振り替えて、その耐用年数に渡って、資産から費用へ振り替えます。
Step3:勘定残高から残高試算表(T/B)を作成
残高試算表へその科目ごとの残高を記録します。勘定に集まった金額を集計し、その残高をT/Bに書き写すだけです。
Step4:財務三表の作成
残高試算表(T/B:Trial Balance)を貸借対照表(B/S:Balance sheet)と損益計算書(P/L:Profit and Loss statement)に分解します。そして、キャッシュフロー計算書(C/S)を作成します。
車両の購入は損益に影響を与えません。ですので、損益計算書(P/L:Profit and Loss statement)に変動はありません。税金等調整前当期純利益は790のままです。
有形固定資産として車両を購入したのでキャッシュフロー計算書では投資キャッシュフローに該当します。ですので、投資キャッシュフローの「固定資産の取得」の40に100を加え、固定資産の取得140として記録します。
まとめ
・営業用車両の購入は、パソコンの購入と同様に(【図解】「財務3表」の構造03 ~パソコンを購入)、固定資産の増加として計上し、年度末に減価償却を通じて費用へ振り替えます。
・C/Fでは投資キャッシュフローとして記録します。